ダイエットに効く薬があるか聞かれました
ダイエットに効く薬なんてないという事実
薬剤師の資格を持っているということを初対面やそれに近い人に自己紹介すると、(特に女性から)頻繁に決まった質問を受けます。
つまり「ダイエットに効果のある薬ってない?」ということです。
半分は冗談で言っているのかもしれませんし、自分自身のことではなく夫や子供など身近なところで体重増加に悩んでいる人がいるのかもしれません。
ですが正直そういう質問を受けると苦笑いをして逃げてしまいたくなってしまいます。
というのも結論から言えば「ダイエットに効く薬というものは存在しない」からです。
そんなこと言ってもテレビCMとか雑誌広告なんかを見ているとしょっちゅう「ダイエットに劇的な効果!」といった商品を見かけるじゃないかという反論を受けてしまいそうです。
ですが薬剤師という資格者から言わせてもらえば、「ダイエットに効く薬」は絶対に存在しません。
なぜならダイエットが必要になる肥満の状態というのは体にとって必要ではないカロリー量を摂取してしまうことによって起こるものであり、「食べない」ことがダイエットになることはあっても「食べる」ことがダイエットになるわけではないからです。
広い意味でダイエットに効果がある薬について
しかし絶対に存在しないと断言してしまうのも角が立ちますので、広い意味で解釈をしたときにダイエットに間接的に効果があると思われる薬について少し説明をしていきます。
この場合のダイエットへの効果というのは「体重を減らす」ということではなく、「新陳代謝を促進する」「むくみをとり水分量を適切にする」といった意味です。
まず最初の「新陳代謝を促進する」ということですが、これも劇的に増えるというわけではなく体温を高めることにより脂肪が燃焼しやすい状態になるということを指します。
言い換えればもともとその人が持っていた新陳代謝を最高レベルにまで引き出すというわけで、もともとの代謝量が低い人にとってはそれほど意味がありません。
薬としては漢方の一種「防風通聖散錠」というものがあり、こちらを使用することで血行がよくなり体内にある脂分が血液に乗って早くに出されるようになります。
もう一つの「むくみとり」はまさに漢方薬の専門分野で、いわゆる「水毒」の状態にある人の体質改善をしていきます。
具体的には「防已黄耆湯」という種類がおすすめで、継続的に飲んでいくことによって体内に貯まっているよけいな水分を追い出し老廃物が体内にいつまでも残らない体を作っていくことができます。
他にも栄養のバランスを整えるためにサプリメントを接種している人も多いですね。あくまで基本的な食生活を見直していかなければならないことは大前提ですが、ビタミンやミネラルなど不足しがちな栄養素を補う味方になってくれそうです。
しかし代謝を上げたりむくみをとったりしても、それで落ちる体重というのはわずか数百グラムくらいがせいぜいであり、BMIを下げることに直接的な効果があるわけではありません。
厳しいようですがやはりダイエットの最適手段は毎日の食事管理と適度な運動ということになります。