実習義務の成長度


ノートとペン

実習義務とは

薬剤師になるため6年制の薬学大学に通いますが、そこで学習することは専門的な薬の知識だけではなく、態度や技能にも及びます。
それらをしっかり身につけるために設けられたのが、薬局や病院での実務実習です。
実務実習は義務となっていますので、全ての薬剤師が行っているものです。

薬剤師として世に出るために、最低限不可欠な態度や技能、知識を習得する目的で、最初は事前実務実習というものが大学内で行われます。
大学にもよるでしょうが、私は4年次のときに1カ月近くかけてありました。

学内での事前実務実習

模擬薬局、模擬病室、無菌調剤室、散剤調剤室などで、実際の薬剤師が働く現場と同じような設備の中で実習を行うことができます。
シミュレーターやシステム、調剤機器など大学内の設備は充実しており、例えば散剤調剤室でしたら、散剤調剤台というものがある場所で、粉薬(散剤)の薬塵を集める機能を持っているなど、一般的に使用されているものの練習を行えます。

事前実務実習では、それまでの3年間に学習してきたことを元に、無菌調剤法や調剤について取り組みます。
患者さんへの対応を体験してみるために、模擬薬局は正に本物の調剤薬局そっくりの設備の中、処方する薬の説明を目の前の患者さんの年齢や状況に応じて、分かりやすく伝えられるように行います。

病室や調剤薬局のカウンターの場面では、患者さんの役をやってくれる方をボランティアで頼んで、実習をさせて頂きます。
処方する薬品の飲み方を伝えることを、全く知らないボランティアの方に対して行いますので、これまで自分の頭の中で練習していたり、家族や友人を相手に練習していたのとは緊張感が違います。

本物の調剤薬局にそっくりの場所では、処方箋疑義にまつわる問い合わせのやり方、薬歴管理、調剤鑑査法などの勉強ができます。
模擬実習というと、患者さんとのやり取りばかりを想像されるかもしれませんが、看護師や医師などといった現場内で働く人たちとのコミュニケーションについても学習しています。

薬局や病院での実務実習

実務実習を薬局や病院で行うのは、私たちの大学では5年次になってからでした。
全ての学生が同じ医療機関などに行くのではなく、バラバラです。

職場見学ではなく実際に業務に参加しますので、当然ながら患者さんなどもボランティアではなく本物です。
患者さんへの態度や接し方を実務から学ぶ以外に、医療チームや同僚などとの関わり方も習得していきます。

実務実習の前には実習期間の指導体制、現場でのマナー教育、実習ポートフォリオの作成方法などについてガイダンスが実施されます。
病院と薬局のどちらでも実務実習を受けますが、学生によって実習に行く先は違いますので、実務実習合同報告会によって自分が行ったところ以外はどんな内容だったかを知ることができます。
実務実習が行われる期間は、たいていの大学が2カ月半くらいだということです。